認知症介護の仕事をスムーズにすすめるには

人は自分の居場所がなかったり、自分のペースが崩れると、大きな不安やストレスを感じます。そして、不安は行動しようという意欲を低下させてしまうことがあります。介護職の仕事をするにあたり、認知症の利用者と接することは避けることはできないものです。認知症の方の場合、ポジティブな発言でもネガティブに捉えられてしまうこともあります。例えば、「この場所は誰でも座っていい」「どうぞご自由に」というニュアンスの言葉を介護職員が掛けたとしても、認知症の方の場合、「この場所がなくなったら自分はどこに行けばいいのか」というネガティブな感情でとらえてしまうこともあるので注意が必要です。

また、認知症の方は何かしらこだわりを持っていることもあります。そして、そのこだわりは、一般常識や施設のルールには、そぐわないこともあります。その際、まずは昔から本人が持っていたこだわりなのか、それとも、施設で暮らすようになって環境の変化によって生まれてしまったこだわりなのかを見極めることが大事です。介護生活を送るようになり不便な生活を送る中で、何かしらのこだわりが生じたものかもしれないと理解を示すことも大切になります。

加えて、コミュニケーションを図る際には、その人の癖や動作の特徴を把握することも大事です。介護職員の思いこみや自分の知識の範囲内だけでやりとりしていると、一般的にはその人を尊重するような発言をしたはずなのに、逆にとられてしまうこともあります。認知症介護の仕事では、特に言葉の受け止められ方に配慮することが重要です。